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「生産マイスター」モノづくりの現場に支持され18万人が受講― 階層別にノウハウを体系化
2024-07-03 15:53:20
モノづくり現場の人材育成は、背中を見て覚える時代が遠く過ぎ、国際競争を勝ち抜く工場のノウハウをいかに体系的に教えるかが課題となっている。そんな状況のなか、一般的な社員研修プログラムでは物足りないと考える「現場」に支持され、累計18万人が受講したのが日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の人材育成プログラム「生産マイスター」だ。その最大の特徴は、実例に基づいたノウハウを新人から工場長まで階層別にまとめて体系化するという「実践」を考え抜いた作りにある。
自動車工場から製薬工場まで共通のノウハウを抽出
自動車、産業機械、素材、食品、製薬。製品が異なれば工場の作りも作業内容も違う。「生産マイスター」はそんなものづくりの現場に共通するノウハウを抽出して体系化し、通信教育と検定制度で構成するプログラムとして2012年にスタートした。きっかけは当時、生産拠点の海外展開が進み国内生産拠点の役割変化が求められ、グローバル展開のなかで現場をマネジメントできる中核人材を計画的に育成する仕組みが必要になったことだった。
そのカリキュラムは、対象とする受講者のレベルが違っても、教える内容の「テーマ」が共通なことが特徴だ。受講者のレベルは入社から3年以内の新人向けの「ベーシック」からはじまり、グループリーダークラスの監督者向けの「3級」、上級の監督者向けの「2級」、工場長や課長などの管理者向けの「1級」の4コース。そしてコースごとに教える内容は、役割・意識(Role)、品質管理(Quality)、原価管理(Cost)、納期・生産管理(Delivery)、安全・衛生管理(Safety)、環境管理(Environment)の6テーマに整理している。受講者の階層を縦軸、学習テーマを横軸として現場のノウハウを徹底的に体系化した。
例えば「品質管理」を例にとれば、ベーシックでは、まず何もわからない新人に「品質」の重要性を教え、品質管理を意識して仕事をする姿勢を学ばせる。3級のコースではグループリーダーである受講者に対し、自分の工程に限定した品質管理のあるべき姿を考えてもらう。そして2級の監督者と1級の工場長レベルでは、部分最適ではなく全体の品質管理を最適化する方法を考えてもらい、「品質」に対する責任の自覚を学ぶ。品質管理に関する世界共通の用語や物差しを教えることで、工場内の全員が共通の言葉で品質の改善を語るようになるわけだ。
生産マイスターで得られること
実例挙げたテキストと手書きのノートで実践教育
教材の具体的な構成を見てみよう。普通、企業の人材育成は本社・人事部が担当するが、「生産マイスター」は生産子会社の総務部や工場長自身が導入を決めるケースも多く、これまでに機械、食品、製薬など500社以上が採用した。教材の構成も現場に支持される実践的なものになっている。
まずテキストの内容は、現場の実例を示してモノづくりならではのノウハウを教えている。例えば3級の「ミーティングの上手な進め方」なら、一般的な「事前にメンバーに情報を与えて考えさせる」といったノウハウだけでなく、「リーダーが(技術の)専門家になりすぎず、メンバーが理解できない話をしない」といった具合だ。
通信教育は4冊のテキストと1冊のラーニングノートで構成され、約4カ月の受講期間中にレポートを4回提出する。テキストは、まず受講者自身の役割を認識させて意欲を醸成、モノづくりの人材育成らしくテキストの内容を「手を動かして体得させる」のが特徴で、問題集に当たる「ラーニングノート」で自分の職場に置き換えて考え、手で解答を書かせる。新人向けのベーシックは受講者の負担をやや軽く設計し、3冊のテキストでレポート提出も3回にしている。
検定制度でモチベーションアップと「見える化」
卒業試験に当たる生産マイスターの検定制度は、年度ごとに7月、10月、1月の年3回実施する。公開会場は全国7都市だが、法人単位で受講している企業は、自社施設内を団体会場とすることも可能。これまでに挑戦者は4万5000人を超えた。合格率は約60%となかなかの難関だ。
検定制度は社員の自己研鑽(けんさん)のモチベーションになるとともに、企業にとっては社員の知識レベルの「見える化」となる。検定合格を人事評価制度上の資格として認める企業や、資格ごとに色分けしたマークを作業着や帽子に付ける企業など導入各社が工夫をしている。
事業を担当する日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)マイスターインキュベートセンター長の渋谷崇氏は「階層別教育で導入いただいている企業様からは、改善の前提となる汎用的な基礎知識の共有言語化ができたことに加え、1級合格者が新入社員教育で先生役となってベーシック級の内容を指導するといった学びの連鎖の仕組みができた、という声もいただいています」という。新人から工場長まで、共通の物差しで改善を考えるようになり、説明に時間を取られず考え方やイメージにズレが生じにくくなるという。
生産マイスターのカリキュラムは2023年7月に改訂し、「デジタル化」「スマートファクトリー」「サステナビリティ経営」「SDG’s」など、製造業を取り巻く環境変化を反映した項目を追加した。今後も生産マイスターを受講して広い視野を持った人材が日本の製造業の新たな価値を生み、生産マイスター自体も新たなカリキュラムや修了者向けセミナー開催などの新サービスで日本のモノづくりを支えていくだろう。